「美しいと感じている瞬間その人もまた美しいのだ」と感じて以来、全ての制作においてこの美の循環を大テーマとしている。そして視覚におけるまぶたのような防御策を心理的選別以外に何も持っていない無防備で正確で繊細な聴覚という世界を大切にしてほしいと願っている。これらを表現すべく「誰もがみなこの世界を鳴らしている存在」なのだということを、美の循環の中で気づきなおせる作品を作ろうという思いで制作。使用する環境音は珍しい場所や決定的瞬間などではなくあくまでも日常を念頭に採取。これはフィールドレコーディング作品における収録場所の特殊性ありきな方向を排除する意図があり、収集した環境音から※「WAVE」システムを用いて音楽を生成。(※マイクに入力した環境音を楽器自身が真似るように自動で旋律を奏でるプログラム)これは作曲のプロセスにおける「音色」と「音階」のみに対してデザインを施し、通常最も重要と捉えられる「メロディー」と「リズム」の作成を環境音に委ねることで、環境との新たな共存方向への思考を促す狙いがある。ゲストミュージシャンに「音色」や「音階」のデザインで参加してもらうことで、個人的なロードノベルといった解釈を避け、普遍的な日常感を強調している。またコラボレーションは、コロナ禍の状況下で少しでも仕事になればという願いを込めて、過去の「CAMP Off-Tone」で多大な協力を賜ったアーティストに依頼。「CAMP Off-Tone」を知る人々にとってはさらに意味深さを感じ取れる仕上がりとなった。
//活動遍歴// ダンスミュージックをキャリアのスタートとし、11 年間フジロックの運営などに携わった経験をもとに、自ら主宰する野外フェス「CAMP Off-Tone」では、環境音楽・アンビエントに完全にフォーカスする内容で、小規模インドアが一般的であった同ジャンル周辺の状況を一変させた。なかでもINOYAMALAND や尾島由郎、小久保隆など、過去にブッキングした多くのベテランミュージシャンが、グラミーノミネートされたコンピレーション「Kankyo Ongaku」に軒並み収録され、時流を先取りした人選だったとDommune などで話題に。現在「CAMP Off-Tone」はコロナ禍により2年間中止としており、その期間中は、新たに所属した日本サウンドスケープ協会などで知見を深めながら、・茨城県磯原温泉「二ッ島観光ホテル」の館内音楽を作成・自らのサウンドアート作品(2020 年6 月にヒカリエ8 階ギャラリー「CUBE 1.2.3」にて展示)を記録したカセットをリリース・アンビエントユニットMagnifica の配信シングルをプロデュースしリリース・渋谷Contact によるストリーミングGH Streaming にて番組を制作し、ライブとDJ を披露などなど、感染リスクを避けた条件下で音楽を届ける方法の模索に尽力している。 //PROFILE//広島生まれ。DJ、作曲家、エンジニア。94 年より楽曲制作を始め、98 年よりDJ 活動を開始。2000 年のファースト12 インチシングル以降、オリジナル楽曲のリリースを重ねている。また、バンドのプロデュースやアレンジ、CM や企業PV などの音楽制作、各種マスタリングも手がけ、現在はStudio Sprout Lab. 代表およびクラシックレーベルでのマスタリングエンジニアも務めており、2014 年にはApple 社よりMastered for iTunes 対応エンジニアの認定も受けている。また、オーガナイザーとしてアンビエントパーティー「Off-Tone」を主催し、新たなパーティーの可能性に挑戦している。さらに2017 年3 月には「Off-Tone」を音楽レーベルとしても運営開始。制作から共有の場所まで全てに責任を持ち、「音楽のある未来」づくりを推進している。2019 年には北茨城市の桃源郷芸術祭でサウンドアート作品「つねひごと・WAVE」を発表し、ますます活動の幅を広げている。
- 1. 馨りあうこと feat. Sound Furniture
- 2. 寄る辺(やすらかに寂しく)
- 3. 始まりの外側
- 4. 緑となったあなたの中で feat. Kaoru Inoue
- 5. 茫洋 feat. Kuniyuki Takahashi
- 6. 顕れた心と時間 feat. Hakobune
- 7. 始まりの内側 feat. 今西紅雪
- 8. Space feat. Kaito aka Hiroshi Watanabe
- 9. それはたしかに祝福でした
- 10. うつすもの