「天中軒景友」の名で浪曲師としても活躍する景友が、自らの音楽的原点であるフラメンコギターと浪曲の様式をブレンドし、新しい語り芸の地平を切り開く意欲作。ギターによる昔語りという意味の「ギター古事談」。それは琵琶法師による平曲から連綿と続く、音曲を伴う語り芸の進化形といっていい。収録された一つ目の演目は景友オリジナル台本の「人斬り以蔵」。幕末と明治を往還する語りの世界を、ギターと三味線の音が彩る。 二つ目の演目「舶来巾着切」は長谷川伸の原作を景友が脚色。明治の横浜を舞台に、異邦人の哀切をタンゴのメロディーが代弁する。 いずれも日本の語り芸の様式を土台としつつ、物語それ自体が要請する音楽を伴って紡がれる、古くて新しい語りの世界である。プロデュースとマスタリングは久保田麻琴。
- 1. 人斬り以蔵
- 2. 舶来巾着切