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MORE THAN A GOOD BYE

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新世代フィメール・シンガー・ソングライターが続々登場、それぞれに良作を発表する2020年代に今またニューヨークから新鋭がデビュー! その名もキャロル!

本名キャロル・フラハーティー。アイリッシュ・トラッドとアメリカのアパラチアン・フォークとを合流させたような、清廉で美しいフォーク・ミュージックがこの2023年に凛として誕生した。それはまるで、当たり前のように流れる大河の源流を求めて歩き、山の中にある小さな湧水に辿り着いた時の感動や喜びにも似ている。実際に、本作で聴くことができるその澄んだ歌声は、サンディ・デニー、ジュディ・シル、ヴァシュティ・バニヤン、キャス・ブルーム、あるいはジョアンナ・ニューサム、エミリアナ・トリーニ、ジョセフィン・フォスター……といった、同じ女性シンガー・ソングライターでも、よりオーセンティックでフォーク・オリエンテッドな先達の遺伝子を感じ取ることができるだろう。今の時代、ここまで清潔感ある、伝統的なフォーク・ミュージックにアプローチする正統派も珍しいかもしれない。本作はニューヨークを拠点とするそんなキャロルのファースト・アルバムとなる。制作のスタートは2020年8月、それはコロナ禍1年目の夏のことだった。世界中がコロナ禍に突入する直前……彼女はバンド・メンバーたち、Ruben Radlauer(ドラム)、Emma Stacher(ベース)、Jack Wetmore(ギター)と共に拠点となるニューヨーク州から車で移動、コロナ禍で活動がストップしてしまう前の最後のショウをボストンで敢行。この時に、異常事態となっていることを肌で実感した彼女は、その年の夏にニューヨークは北部でメンバーたちと久々に集まり、当たり前の日常の喜びを実感したという。一時停止している世界だからこそ可能な一瞬の輝きは、しかしながら魔法のように儚いことであることにも気づいたキャロルは、その思いを胸にアルバムの制作に入る。そうして作られたのが本作である。『モア・ザン・ア・グッドバイ』は、愛することは降伏すること、信頼することは自分の傷をさらけ出すこと、といった日常的かつ変容的な矛盾を鋭く表現したアルバムだ。「このアルバムの曲は、私たちがいつも目にしている最もシンプルな二面性と最もシンプルな儀式について歌っています」とキャロル。「人と人との間に存在する言語だけでなく、世界と世界、私たちと自然の間に存在する言語についても考えているんです」。何よりこのアルバムは、光と闇が常に私たちの生活の中にあることを教えてくれる。友情が生まれ、愛が咲き、絆が失われ、世界が死んでいく……そんな諸行無常とも言える現実を、情緒豊かに、そしてフォーク・ミュージックの原点を意識させるかのような繊細なメロディとアコースティック・サウンドで伝えてくれる作品だ。

  • 1. Other Room
  • 2. Nancy's Roses
  • 3. Cartwheel
  • 4. Benny
  • 5. No Need
  • 6. Your Eyes Say
  • 7. More Than A Goodbye
  • 8. Anne
  • 9. Clear As This
  • 10. Source(bonus track)
  • 11. Source -Radio Edit- (ボーナストラック)
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