~誰でも好きになるブラックミュージック~
進化したサザン・ソウル「MALACO」の魅力
ソウル・ミュージックがお好きなあなた。ブルースに少し興味のあるあなた。ブルーノ・マーズとアンダーソン・パークのシルク・ソニックを聴いて「イイな」と思ったあなた。カニエ・ウエストやケンドリック・ラマーが好きなあなた。もちろんアッシャーやザ・ウィークエンドも。
『ブルース・ブラザーズ』のレイ・チャールズやアレサ・フランクリンを何度も観ちゃうあなた。映画『キャデラック・レコード』でビヨンセが演じたエタ・ジェイムスがかっこいいと思うあなた。『ドリーム・ガールズ』観て感激したあなた。『ウィ・アー・ザ・ワールド』のYouTubeを繰り替えし観ちゃうあなた。
お好きなのはモータウンですか?マーヴィン・ゲイ、スティーヴィー・ワンダー、ダイアナ・ロス&シュープリームス、マイケル・ジャクソン。まだまだスターがきら星のようにたくさんいます。フィリー・ソウルのオージェイズ?スリー・ディグリーズ? ビリーポール。それともジェーム・ブラウン? カーティス・メイフィールド? スライ&ザ・ファミリーストーン? ティナ・ターナー?
やっぱサザン・ソウル聴きたい! というあなた。サザン・ソウルって何?っていうあなた。
サザン・ソウルといえばテネシー州メンフィス。そうですスタックスとHiレコードのメンフィス・ソウル。オーティス・レディングにサム&デイヴ。ブッカーT&MG‘sもいますね。映画『ワッツタックス』の世界。ルーファス・トーマスにアイザック・ヘイズ。ステイプル・シンガーズの「リスペクト・ユア・セルフ」ですよ。
Hiレコードといえばアル・グリーン。クエンティン・タランティーノ監督の映画『ジャッキー・ブラウン』でパム・グリアーが留置場から保釈される時の「レッツ・ステイ・トゥゲザー」のあの感じ。保釈金融屋のマックス(白人中年)がパム・グリアーに惚れてデルフォニックスのカセットをレコード・ショップで買っちゃう感じもいいです。
ドン・ブライアントやオーティス・クレイ。O.V.ライトにシル・ジョンスン。男臭さが満喫できる渋くてかっこいい!! これぞサザン・ソウルって感じ。紅一点アン・ピーブルズも忘れちゃだめですよ。バッキング・バンドのHiリズムもかっこいい。
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そして、もうひとつ絶対に忘れてはいけないサザン・ソウルのレーベルがMALACO(マラコ)レコードです。 地図をみてください。メンフィスよりまだまだ南へ。ミシシッピ州ジャクソン。メンフィスとニューオーリンズ(ルイジアナ州)のちょうど中間にあります。この地理はめちゃくちゃ興味深い。 ミシシッピ・デルタ。そう深南部=ディープ・サウス。デルタ・ブルース発祥の地ミシシッピのソウルです。メンフィスよりもっともっとディープで甘いソウルとブルースのレーベルです。
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ミシシッピ生まれのメンフィス育ちであるエルビス・プレスリーがメンフィスのサン・レコードで「That’s All Right, Mama」を録音したのが1954年。続くスタックスとHiがメンフィスで産声をあげたのが1957年。RCAと契約したプレスリーは1956年にはすでに「ハートブレイク・ホテル」を皮切りにキング・オブ・ロックンロールとして君臨してます。
やや遅れてMALACO RECORDSがはじまった1961~62年。レイ・チャールズが60年の全米No.1ヒット「ジョージア・オン・マイ・マインド」の勢いのまま放った「Hit the Road Jack(旅立てジャック)」とかボビー・ルイスの「トッシン・アンド・ターニン」といった「リズム&ブルース」初期のヒット曲に混じってマーヴェレッツ「プリーズ・ミスター・ポストマン」が全米チャートの1位を獲得。これがタムラ/モータウン初のNo.1ヒットとなります。
「ブラック・ミュージック(当時の表記を用いればレイス・ミュージック)」がビジネス的に確立される手前、音楽的に洗練されるまだ少し前、つまり産業としては勃興期と成長期のほぼ境目くらいの時代ってことになります。
メンフィス~ジャクソン~ニューオーリンズ。つまりミシシッピ河で繋がる深南部。メンフィスはミズーリ協定の北緯36度30分線にほど近く。北部と南部の接点で交通の要衝。ニューオーリンズはミシシッピ河からメキシコ湾へと繋がる港湾都市。どちらも経済も人口も文化も南部屈指の大都市です。そのちょうどド真ん中に位置するジャクソン。この田舎町で産まれた音楽がとても興味深い。今回の主役MALACO(マラコ)レコードです。
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まずはクイーン・オブ・マラコ=ドロシー・ムーア。女性ソロはデニス・ラサール、ファーン・キニー、シャーリー・ブラウンと実力派揃いですが、ドロシー・ムーア「ミスティ・ブルー」(1976)の大ヒットでMALCOを牽引。グラミー賞に4回ノミネートは群を抜いてます。 地元ミシシッピ州ジャクソン出身でソウル/R&Bはもちろんブルース、ゴスペルと地続きでの活動は幅広く、70年代の活躍のあと一度MALACOを離れますが90年代にはこれぞ正統派サザン・ソウルという傑作『Feel The Love』でMALACOに復帰。クイーン・オブ・マラコの名にふさわしい「イナタかっこいい」名作を数多く残してます。「Talk To Me」とかホント90年代の曲って感じしないんだな。しかし確実に新しい。 名だたる「ミシシッピ・ブルース・トレイル」の標識番号は211番。
才女デニス・ラサールはミシシッピ州のド田舎サイドン生まれのシカゴ育ち。レディ・ソウルには珍しいシンガー・ソングライターでプロデューサー。Hiから移籍してドロシー・ムーアの抜けていた80年代のMALACOの女性ソロの看板。MALACO移籍第1弾『A Lady In The Street』聴いたら才能がわかる。アレンジもサウンドも「イナタかっこいい」まま進化。甘さも充分満喫。これが80年代のサザン・ソウルです。かっこよすぎる。 「Hold On」の語りと歌。剥き出しのリヴァーヴギター。歌と語りを繰り返すブルース&ゴスペル風味が雰囲気充分。エタ・ジェイムス~ココ・テイラーから連なる超一流のレディ・シャウターです。 ファーン・キニーがイイんですよ。ドロシー・ムーアの最初のガールズ・グループ「ザ・ポピーズ」時代の盟友です。当然ジャクソン出身。ポピーズ解散後はジュエル・ベースと共にバッキング・ヴォーカルの仕事がメインでキング・フロイドの「What Our Love Needs」とかドロシー・ムーアの「ミスティ・ブルー」とかのセッションに参加してます。 ファーン・キニーは結婚~引退を経てフレデリック・ナイトとのデュエット名曲「Sweet Life」で1978年にカム・バック。翌79年「グルーヴ・ミー」を進化したミドル・テンポのディスコ・サウンドでカヴァー。ダイアナ・ロスをサザン化したようなロリータ・ヴォーカルが炸裂します。ドロシー・ムーアもファーン・キニーもジュエル・ベースもジャクソン出身ですね。
男性ソロではまずはキング・フロイド。もちろん「グルーヴ・ミー」ですよ。ドロシー・ムーアとのデュエット「We Can Love」っていうサザン・ソウルの超名曲も忘れちゃだめです。ドロシー・ムーアはエディ・フロイドとのデュエット「We Should Really Be In Love」もこれぞサザン・ソウルってかっこいいボーカルでシビレます。 移籍組ではG.C.キャメロン、Z.Z.ヒル、そしてラティモア。 G.C.キャメロンは名門スピナーズのリード・ヴォーカリストでなんといってもあの「イッツ・ア・シェイム」のリード・ヴォーカルですから。一時は再々々結成くらいのテンプテーションズで歌ってましたっけ。しか~し。なんといってもソロとしての最高傑作はMALACOの『ギヴ・ミー・ユア・ラヴ』なのです。 Z.Z.ヒルといえば「Down Home Blues」。イナタいソウルならまかせとけって感じ。「Cheating In The Next Room」→隣の部屋で浮気ってさあ。この感じタマンないです。
ラティモアもイナタさなら互角ってとこでしょうか。マイアミ・ソウルのT.Kレコードで「Let's Straighten It Out」が大ヒット。邦題つけると「ご機嫌なおしてベイビー」「ヨリを戻そうぜ」ってところでしょうか。これはカバーバージョンとサンプリング多数発生「聴き比べ開きたい曲大会」の常に上位な名曲です。 まずオリジナルのT.Kバージョン。お洒落とはやや遠い音色のローズを擁したブルージーなイントロが延々と1分30秒超という時点でこれぞソウルだよ。歌も雰囲気充分。マラコに移籍してのアルバム『I'll Do Anything For You』でセルフ・カバー。イントロは長~い語りになっていてこれが最高。雰囲気はよりモダン・ソウルな感じに。 T.K.の歌姫グウェン・マックレー(先日お亡くなりになり誠に残念。合掌)。ラティモアをフィーチャーしたディープなマイアミ・ソウルが聴きごたえ充分。
O.V. ライトバージョンもめちゃブルージなサザン・ソウル。さすがHiの重鎮です。傑作アルバム『The Bottom Line』に収録。 『キャデラック・レコード』でビヨンセが演じたエタ・ジェイムスもアルバム『Matriarch of the Blues』(邦題『ブルースの女王』)でカバー。邦題が無駄にダサいのは置いといて。Matriarchって本来は「女家長」って意味ですね。どうせ邦題付けるなら『ブルースの女番長』『ブルースの女親分』とか。任侠映画の世界的歴史的傑作シリーズ『緋牡丹博徒』で清川虹子演じる女親分「お神楽のおたか」みたいな感じ。お竜さん(藤純子)がお神楽のおたか親分のことを「兄貴さん」って呼ぶのがかっこいいのよ。ホント。 極めつけは映画『パンサー』(1995年)で使われたMonica and Usher。フィーチャリングというよりモニカとアッシャーのデュエットですね。『パンサー』はいうまでもなくブラックパンサー党を描いた作品。2PACのお母さんも元ブラックパンサー党でしたっけ。監督はマリオ・ヴァン・ピーブルズ。音楽はフュージョンの創生者リターン・トゥ・フォーエヴァーのスタンリー・クラーク。ビデオの邦題は『パンサー/黒豹の銃弾』。 このサントラはすごいよ。当時のHIPHOP/R&Bの若手中堅ベテラン大集合で特にテーマ曲「Freedom」は60人の黒人女性R&B/HIPHOPアーティストが参加。アリーヤ、アン・ヴォーグ、メアリー・J・ブライジ、MCライト、Salt-N-Pepa、SWV、TLC、ヴァネッサ・ウィリアムズ、クリスタル・ウォーターズ、ZHANE、もちろんモニカも。90‘s好きにオススメ。 2022年版『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』の方もケンドリック・ラマーとザ・ウィークエンドとアンダーソン・パークが収録、てだけでもう凄そうでしょ。
あと移籍組ではなんといってもブランズウィックの看板=キング・オブ・シカゴ・ソウルの一人タイロン・デイヴィスです。ブランズウィック崩壊後はコロムビアから一番レコードを経てMALACOへ。生まれ故郷のミシシッピへの帰還です。90年代のイナタいソウルがグッときます。 アルバム『Simply』の「Aint That Good Enough」とかホントに名曲です。メロがちょっとだけ超名曲「Can I Change My Mind」ぼくて。「In the Mood for Love 」では「Can I Change My Mind」のリフが使われてますね。語りの不器用にゴッツい感じも◎。タイロン・デイヴィスは永遠不滅のキング・オブ・ソウルなのです。 あとはモズレー・アンド・ジョンソンとかザ・ローズ・ブラザーズとか「イナタかっこいい」サザン・ソウルはまだまだあります。フリーダムとかパワーとかシャンペーンとか。色合いの異なるソウルも。モダン・ブルースのボビー“ブルー”ブランド、リトル・ミルトンあたりの話もしたいですね。まあこの続きはいずれ次の機会に。
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サザン・ソウル最高!! 「甘い歌声と魂の叫び」イカしたリズムにゴキゲンなホーン、渋めのギターで今日も
Have A Good Day!
[Shout & Sweet ORGANIZATION]
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