美旋律とスウィングを極め、札幌に魂を宿す。国際的再評価を受ける孤高のジャズ巨匠。

プロフィール

"福居良（ふくいりょう）は、日本を代表するジャズピアニストであり、その独特な演奏スタイルや経歴で国内外の音楽ファンから広く愛される。
1948年6月1日、北海道沙流郡平取町に生まれた彼は、幼少期に民謡演奏家の父・福居天童や旅芸人の家族とともに旅一座として各地を巡る生活を送っていた。この環境で培った音楽への愛情が、後の彼のジャズピアニストとしての道を切り拓く基盤となる。

18歳でアコーディオンを始め、音楽の基礎を築いた福居は、22歳で父の勧めでピアノに取り組み始めた。
ピアノに触れた初日から彼は独学で猛勉強を重ね、その情熱的な努力は、アコーディオン時代のテクニックを活かしつつ、ジャズピアノという新たなジャンルで輝く才能を発揮するまでに至った。
福居は上京し、松本英彦（テナーサックス）との出会いにより、その道をさらに深化させた。

キャリアの転機は1976年のデビューアルバム『Scenery』のリリース。このアルバムは、革新的な世界観を示した作品として評価され、続けて1977年に『Mellow Dream』を発表。いずれも、美しい旋律と力強いスウィング感が特徴だったが当時は現在の様な評判を得られる事は無かった。更に技術的な不足を指摘された経験を乗り越えるため、ラジオで聴いたエラ・フィッツジェラルドの「Cジャムブルース」に触発され再起を決意。その結果、ジャズ理論を学び直し、バリー・ハリスを生涯の師と仰ぎながら演奏技術と音楽性を磨いた。

1995年6月1日にに札幌市すすきのにジャズクラブ「スローボート」を開店、地元のジャズ文化を支える重要な拠点となった。このクラブでは、福居の演奏だけでなく、若手プレイヤーの育成や国際的な交流も行われ、地域に根付くジャズの発展に貢献した。

1999年には『Ryo Fukui in New York』を発表、リロイ・ウィリアムズやライル・アトキンソンなどの一流プレイヤーと共演し、彼の音楽はさらに世界に広がった。2012年には札幌文化奨励賞を受賞し、札幌市がジャズの街としての魅力を発信する一助となった。

晩年、福居の音楽はYouTube上で世界中から評価され、若い世代のリスナーにも感銘を与え続けている。
高い音楽性と共に、遅咲きの22歳からピアニストとしてのキャリアをスタートさせ全力で開花させた、というストーリーにも共感が集まっている。
福居良は2016年に他界したが現在でもスローボートは営業を続け2025年には30周年を迎えた。
現在でも世界中から福居良のファンが押し寄せている。"