CANDID

マックス・ローチ、アビー・リンカーン、セシル・テイラー、個性派揃いの名門レーベル

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プロフィール

1960年、ニューヨークのCadence Records傘下に誕生したCandid Recordsは、当時ジャズ批評家として著名だったナット・ヘントフをA&Rディレクターに迎え、「演奏者主体」の録音哲学を掲げた。ヘントフは人種差別と貧困に苦しむアメリカ南部出身のミュージシャンたちを積極的に起用するとともに、公民権運動の進展をジャズで表現すべく、社会的メッセージを込めた作品のプロデュースにも力を注ぎました。
ジャケットには、グラフィック・デザイナーのフランク・ガウナが黒人ミュージシャンの日常やステージの緊張感をモノクロ写真で起用して「ジャズのリアル」をヴィジュアル化した斬新なデザインを確立した。

設立からわずか2年足らずのあいだに、Candidは数々の名盤を輩出、1961年にリリースされたオーティス・スパンの『Otis Spann Is the Blues』は、トム・ノーラのNola Penthouse Studioで録音されたピアノとホーンの距離感が見事に捉えられ、ブルース再評価の流れと結びついた傑作として評価を受けた。同年、チャールス・ミンガス自らが編曲・指揮を手がけた『Charles Mingus Presents』では、エリック・ドルフィーやビリー・ハーパーら新鋭が前衛ジャズへの扉を開き、さらに「Newport Rebels」プロジェクトでは、商業化を批判するために集まったマックス・ローチやブッカー・リトル、アビー・リンカーンらが一堂に会し、ジャズの芸術性と政治性を鮮烈に刻み込んだ。

ところが1961年末、親会社Cadenceの経営悪化を受けてCandidは一度活動を停止。そのまま失われかけたレーベル・カタログを救ったのは、翌1962年にカタログ権を取得したポップ歌手アンディ・ウィリアムズだった。彼がBarnabyレーベルでオリジナル・アルバムを再発し、英米で流通を確立したことで、Candidの名作群は一気に再評価の波が高まった。

1989年にはロンドンのBlack Lion Recordsが初のオリジナル・マスターからCDリイシューを発売。ジャケット写真の魅力もあって、欧州を中心にジャズコレクターや批評家から熱狂的に受け入れられた。以降、90年代から2000年代にかけては新録音やコンピレーション盤も相次ぎ、「第二の黄金期」と呼べる規模の再興を遂げた。

Candid Recordsの真価は社会問題を直視する姿勢」にあった。演奏者に録音の主導権を委ねるという当時としては画期的な手法は、その後のフリージャズやソウル、ファンクにまで影響を及ぼし、現代の音楽制作にも脈々と引き継がれている。
50年以上を経た今日もなお、Candidのレーベル精神は「ジャズはただの娯楽ではなく、時代と生きる証言である」というメッセージとして、後継のミュージシャンやリスナーを鼓舞し続けている。

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