DE-LITE

クール&ザ・ギャングを輩出したNY発ブラック・ミュージックの名門De-Lite

DE-LITE

プロフィール

1967年にニューヨークの小さなオフィスで「De-Lite Recorded Sound Corporation」は誕生した。創業者はフレッド・ヴィゴリート、フレッド・フィオト、テッド・サイモネッティの三人。もともと蓄音機や楽器を手がけていた会社のレーベル部門としてスタートし、翌1968年にはルイ・プリマのライブ録音盤『The New Sounds of the Louis Prima Show』を第1弾にリリース。同年発表のデビュー・シングルは“Mr. Ginger Ale”名義の「That Old Feeling/Love Walked In」で、まだ無名のシンガーを起用した実験的試みだった。

レーベルの転機は1969年、De-LiteのサブレーベルRed Coachに在籍していた若きインストゥルメンタル・グループ、Kool & the Gangをメイン契約に迎えたときだった。当時、プロデューサーのジーン・レッドはマンハッタンの小さなスタジオに彼らを連れ込み、粗削りなホーン・リフを活かしたライブ感あふれるセッションを録音。「Raw Hamburger」と改題されたインスト曲はR&Bチャートに初登場を果たし、レーベルの命運を一挙に引き寄せた。

1973年、Pickwick Internationalによる全米流通網の構築を背景に、Kool & the Gangのポップ・クロスオーバーが本格化。彼らの最初のトップ40ヒット「Funky Stuff」リリース時は、創業の地ブルックリンにある倉庫を即席スタジオに改装し、夜通し録音を続行したという逸話が残る。この成功が後の「Jungle Boogie」や「Hollywood Swinging」へとつながり、De-Liteサウンドは全米に轟いた。

1975年にはディスコ先駆者Crown Heights Affairを加え、シングル「Dreaming a Dream」がBillboard R&Bチャート5位を獲得。メンバーは地元パーティーで披露した未完成デモを持ち込み、ヴィゴリートがその場で契約書を取り交わしたという、まさに熱気の中から生まれた出会いだった。以後もDynamicsやThe Kay Geesらを発掘、ソウル/ディスコ両輪でレーベルを牽引した。

しかし1977年、PolyGramによるPickwick買収で流通体制が再編されると、De-Liteは徐々にメジャー傘下の小レーベルへと変容。1985年にはMercury Recordsに吸収合併され、Kool & the Gangも同社へ移籍。かつての独立精神は一時期失われたが、創業期から培った「アーティスト主体」「黒人音楽の意義を最前線で発信する」姿勢は不滅だった。 また、近年では、「Get Down On It」や「Summer Madness」のブレイクがヒップホップ/ハウス系のトラックに重用され、現代のDJやビートメイカーたちを魅了し続けている。

De-Lite Recordsはわずか18年の活動期間で、R&B、ファンク、ディスコを縦横に横断しながらシーンを変革した伝説のレーベルだ。その礎を築いた創業者たちの野心と現場感覚、そして発掘したアーティストたちの情熱が、50年近くを経た今も新たな音楽と対話を生んでいる。

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