スウィングの女王はムード歌謡の先駆者(パイオニア)
園まり (その・まり本名:薗部毬子 1944年4月12日~2024年7月26日)。
園まりの評価はその安定した旋律とリズムとビートの融合をソフトにかつ完璧に体現したことだ。
それは「マッシュ・ポテト・タイム」や「花はどこへ行った」といったアメリカナイズされたポップスではなく、宮川泰のオリジナル・ソングの最高の歌い手として真価を発揮したのである。
後年の園まりの歌唱は音圧を伴うソウルフルなスタイルに変貌していたことに驚かされたが、60年代に絶頂期を迎えた園まりの歌手としての本質的な魅力は4ビート解釈のスウィング調の歌唱にある。
1964年10月の「何も云わないで」は前月発売のザ・ピーナッツの「ウナセラディ東京」とも相通ずるムード歌謡の先駆的作品である。3/4拍子の軽いワルツ調だが、宮川泰はワルツの持つ大仰なリズムを回避すべく、小節頭で付点譜を効果的に用いてスウィング感を演出している。
同時にこの作品のヒットで園まりは、三人娘の中で最初に脱カヴァー・ポップスの新境地を切り開く存在となるが、ムード歌謡路線の決定打ともいうべき「逢いたくて逢いたくて」は作詞=岩谷時子・作曲=宮川泰コンビの作品だった。発売は1966年1月。
トランペット・ソロを冒頭に配置した森岡賢一郎のアレンジは、これぞヒット曲ともいうべき歌謡曲の王道を行く輪郭のはっきりした音作りである。宮川泰は園まりの個性を活かすべく緩やかなテンポで連符を効果的に導入している。特に小節頭の”あ~いした 人~は”や”こ~ころ の糸~が”の箇所は園まりのレガート唱法が絶妙のマッチングで曲全体の情感を演出している。
「夢は夜ひらく」は6社競作となったが、園まりヴァージョンが大きなヒットとなる。66年の園まりの活躍は目覚ましく、三人娘のひとりで、ポップス寄りのカンツォーネでのヒットを狙っていた伊東ゆかりも路線変更して翌67年2月の「小指の想い出」が大ヒット68年の「恋のしずく」へと続く。
園まりは1966~68年にかけて「逢いたくて逢いたくて」を皮切りに「何でもないわ」「夢は夜ひらく」「やさしい雨」「何でもないわ」「帰りたくないの」「つれてって」「愛は惜しみなく」「愛情」「好きなの好きなの」「あなたのとりこ」と傑作を連打。どれも大ヒットを記録し、60年代を彩る新たなポップス『ムード歌謡』の礎を築いた先駆者であり、歌謡史に残る最重要シンガーである。
高 護(ULTRA-VYBE/Hotwax.INC)
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