1980年代後半、日本の音楽シーンは大きな転換点を迎えていた。バンドブームの胎動が全国各地で感じられる中、その前夜に一大インディーズ・ムーヴメントを牽引した最重要レーベルこそが“キャプテンレコード”である。1985年、雑誌『宝島』を発行するJICC出版局が設立したこのレーベルは、既存のメジャーシステムでは拾いきれなかった個性豊かなバンドを次々と世に送り出した。
なかでも、レーベルの第1弾リリースとなったTHE WILLARDの1stアルバム『Good Evening Wonderful Fiend』はこの1枚で日本のインディーズ・シーンを確立し、日本のロックの歴史を塗り替えた伝説の作品と語り継がれており、彼らを筆頭とした様々なバンドの作品リリースはキャプテンレコードの果敢なプロデュースと全国的な販路構築によって支えられ、雑誌との連動もあって当時の若者たちの心を捉えた。音楽性はパンクやニューウェイブを軸にしながらも、それぞれが独自の美学を展開しており、キャプテンは単なるインディーズレーベルの枠を超えた存在として認知されていった。
同時代には、KERA(ケラリーノ・サンドロヴィッチ)が主宰する“ナゴムレコード”や、JAGATARAといった異端かつ強烈な存在も登場し、日本のロック/ポップスに未曾有の自由と混沌をもたらした。キャプテンレコードは、そうした潮流のなかで最も商業的に成功を収めたインディーズレーベルでありながら、アンダーグラウンドの精神を守り続けた稀有な存在であった。
後のバンドブームを経てメジャーに進出するアーティストたち、さらには俳優や文筆業など異なるジャンルに広がっていく表現者たちにとっても、キャプテンレコードの存在は一つの始発点だったと言えるだろう。現在に至るまで、日本の音楽文化の“地下水脈”として語り継がれるキャプテンレコード。その残した衝撃と爪痕は、今なお色あせることなく多くのクリエイターに影響を与え続けている。
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